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INTERVIEW
インタビュー

小栗了が表現する世界

-EPISODE 1 PRINCESS KAGUYA-の演出を担当する小栗了。インタビューでは、企業ブランディングから格闘技まで、幅広い分野で演出家として活躍する小栗が自身の過去を振り返り、FANTASIAに馳せる思いについて語る。

取材・文:FANTASIA
写真:FANTASIA

―― 小栗さんは、ご自分のことを何者だとお考えでしょうか。普段、どの様にご自身のプロフィールを表現されますか?

小栗: 何者かと言われると、なかなか表現しづらいですが・・・。ただ、今までの人生の瞬間瞬間は一生懸命に生きてきた自信があります。で、その、瞬間瞬間を積み重ねてきたのが、今の自分だと思います。ここ10年前の自分に、現在の自分がこうなっているとか想像できませんでしたし、5年前の自分に聞いても、現在の自分がこんな風になっているという想像もありませんでした。
ただ、ひたすらに目の前に与えられたものを一生懸命にこなしてきた結果、今の自分になっています。こうなりたいとか、こうしたいとか言ってる余裕はなかったですよね。なので、今も自分が何者であるかはわかりません。なんか、もう、ここまで分からないので、最後まで分からない気がしますが・・・。
なので、今まで通り、最後まで一生懸命に生きます。そっか。何者かと言われたら、一生懸命に生きている人かもしれません。笑

―― 過去を振り返って、現在のキャリアに至るまでの原体験になった出来事はありますか?幼少期、学生時代について教えてください。

小栗: 小さい頃は、内気でした。背も小さく、細くて、顔も女の子っぽい顔をしていたので、いじめられたり、からかわれたりよくしました。当時は狭い世界だったので、「世の中真っ暗だ」なんて考える時期もありましたが、今思うとその経験も僕の血となり、肉となっています。背が大きくなり始めた頃から、徐々に自信が持てるようになったのかな。
高校卒業と同時にアメリカへ留学させてもらい、向こうでは、自分の言いたい事、主張しないと誰も助けてくれないって事を学びました。父がオペラの舞台監督という職業をしていたので、父の所にアルバイトで入り、若い頃に海外のオペラの演出家たちと仕事をさせてもらえたのは、今、この仕事をさせてもらえてる『礎』な気がします。売れない役者をやっていた時期も本当にいい経験をさせてもらいました。無名ながらも、蜷川幸雄さんの舞台に出演させていただいたり、映画にださせてもらったりと本当に幸運でした。本当に今まで歩んできた道のりは全てが僕のキャリアの要素になっていると思います。

―― お父さんの影響もあってエンターテインメント業界に興味があったのですね。幼い頃、例えば小学生時代とかの具体的な『夢』は演出家だったのですか?

小栗: 小学校の卒業アルバムにはラジオのDJやりたいって書いてましたね。その後、映画監督になりたくて、アメリカに行き、どこで間違ったか、役者やるって日本に帰ってきて、現在に至るって感じです。

―― 今回「FANTASIA」の演出を担当されるわけですが「FANTASIA」自体に何を感じて、何を期待をして、ご自身の表現をぶつけようと考えていますか? タイトなスケジュールの中、無茶ぶりではなかったですか?(笑)

小栗: 正直、最初に話をいただいた際には、僕でいいのかな、と思いました。でも、プロデューサーの藤井さんは「ぜひ演出をお願いします」って言ってくださったので、ちゃんとやらなきゃってプレッシャーでしたね。でも、「FANTASIA」のプレイベントを手探りの中やらせてもらい、何となく感覚みたいなものはできたと思っています。
新しいモノにチャレンジするワクワク感とドキドキ感は本当にありがたいなって思っています。最近は新しい試みをってお話をいただける機会も増えて、それは僕にとっては大きなチャレンジなんですが、チャレンジをさせてもらえる環境があるってことだけで感謝をしています。
その感謝を、話を頂いた方に返さなきゃいけないし、見に来てくださる方々にも何かを残していかないと、思っています。ただ、僕らの仕事は点数がでたりするような仕事ではないので、なかなか難しいのですが・・・。だからこそ、面白いんですけどね。FANTASIAでは、来てくださるお客様に、異空間というか、なんか不思議だけど来てよかったなって思っていただけるような形を残せたらと思っています。

―― 小栗さんのキャリアを振り返って、今回の取り組みで特に活かされたことはありますか?

小栗: 僕は父がオペラの舞台監督をしていたこともあり、海外のオペラの演出家の方と仕事をさせてもらえる機会が何度もありました。その中で得た物、自分なりに消化できたものが出せたらなと思います。あと、2007年から約5年、シルク・ドゥ・ソレイユというカナダ、ケベックの現代版サーカスの方達と仕事させてもらえたことが、僕ベースになっています。その中で感じたこと、見た事、実際に行ったことが今回の中では活かしていきたいなって思っていることです。

―― 今回は20代から30代の人が多数来場しますが、その人たちに小栗さんが担当される演出の中でぜひ感じてほしいことがあれば教えてください。

小栗: 日本って島国じゃないですか。やっぱり、気持ち的にずっとその島国根性を背負っているというか、染みついているというか、そんな感じのモノってあると思うんですよね。

―― 島国根性ですか?

海外はスゴく見えて、日本はダサいというか。でも今、世界中から日本に観光に訪れる人たちがすごく増えているんですよね。日本の若い人は特にですけど、海外の人々から「日本に行きたい」とか「見てみたい」とか思われている国であることを、改めて認識して欲しいなって思っています。
こんな、小さい島国だけど、素晴らしい昔からの文化があって、何千年も受け継がれているものが沢山あるということを!

小栗: 今回の竹取物語っていうのは、意外と人間の根っこの部分を表している作品だと思うんですよね。人が人を好きになることとか、妬みとか、人と別れることの悲しみとか。人間って結局エゴの塊なところがあって、何千年経とうが、人が悩むことの本質は変わらないんだなって。
竹取物語は作者が不明なんですが、それを描けた僕らの祖先がいて、それが今も語り継がれているということは、本当に素晴らしいことですよね。

小栗: その日本の良さと、現代日本の文化や海外から輸入されたものもが掛け合わせられて、新たなに生み出された文化ももまだまだ捨てたもんじゃないなっていうのを感じてもらえたら嬉しいです。ただ、今回の「FANTASIA」でそれを感じてもらえるかどうかは僕の頑張り次第だったりするんでするので、、、最後まであがいて頑張りますよ。(笑)

―― 最後に、これから小栗さん自身が何を目指すのか、展望があればお伺いできますか?

小栗: 今も自分が何者なのか分かっていない人間なので、それが分かるまであがいて、一生懸命生きていきたいと思っています。明日は何が起こるか分からないっていう現代じゃないですか? だからこそ、毎日毎日を一生懸命生きて、目の前にあることを必死にやっていきたいですね。それは、僕の結果となり、次へと繋がっていく。まあ、繋がらない場合ももちろんありますが。。。だからこそ、日々を必死に生きるスタイルを続けて行きたいと思います。目先の目標としては、来年もFANTASIAプロジェクトを完遂できる様に頑張っていきますよ!(笑)

小栗了(おぐり りょう)
1976年生まれ。
1995年、映画監督を目指し渡米。
2001年、役者として活動するために帰国し、蜷川幸雄の舞台やスティーヴン・セガール主演の映画などに出演を果たす。
2006年、俳優引退と同時にオペラ制作会社のアートクリエーションに入社し、国内外のエンタテインメントの現場で演出を学ぶ。
2007年、同社からスピンアウトする形で設立されたイベント制作会社NACの取締役に就任。
2008年、1984年にカナダ・ケベック州で設立したエンターテイメント集団『シルク・ドゥ・ソレイユ(Cirque du Soleil)』の日本人スタッフの責任者として立ち上げから関わる。 現在は、演劇、ステージ、格闘技、クラシックコンサートなどジャンルレスに活躍のフィールドを広げている。

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